小林登志子 / シュメル―人類最古の文明(ISBN:4121018184)

シュメル―人類最古の文明 (中公新書)

シュメル―人類最古の文明 (中公新書)

良書。
これまでシュメール(原音に近い表記はシュメル。*1)文明と言えば、『ドルアーガの塔』のモチーフになっている『ギルガメシュ叙事詩』の印象しかありませんでしたが、本書では、ギルガメシュ叙事詩は洪水伝説の起源の一つとして紹介されている程度で、ごく僅かなページしか割かれていません。
目次にあるように、各章はそれぞれ、風土、楔形文字、農業、はんこ社会、戦争、徳政と法典、国際社会、読み書きと学校、宗教観、統一国家形成と滅亡という内容になっており、おおよそシュメル文明の全般を網羅した解説になっています。中でも第三章は、はんこといっても記念切手のような内容で、図案と解説を読んでいる内に読み終わってしまった感じです。

塩野七生/海の都の物語が楽しめる人なら、本書も同様に楽しめるのではないでしょうか。

*1:なぜ長音を含むようになったかについては、本書「はじめに」で解説されています。