文化鯖が大好き

最近の若者は日本の文化を殺そうとしているのではないか


今でこそ伝統芸能と言われるものも、かつてはその時代のいちばん新しい芸能だったはずである。それが温存されるようになってしまった時から衰退は始まった。伝統芸能を守ることも大切かもしれないが、ただ守られるだけのものはいずれ死んでいく運命にある。
政府が補助金を出して伝統芸能を守ろうとするのは、死にかけているバアサンにカンフル剤を打っているようなものだ。だいいち、死にかけているんだからカンフル剤などもったいない。それをするぐらいだったら、ベッドの横に若い孫でも連れてきてバアサンを看取らせ、その血を吸い取らせるほうがよっぽどいい。
極論だけど、従来のものを踏まえて新しいものをつくり出していくというのは、つまり伝統芸能を次の時代に発展させるというのは、そういうことなのだと思う。

「高田さんにとって文化とはなんですか」
またつまらない質問をしやがって、と思いながら、こう答えた。
「私にとって文化というのは文化鯖のことです。私は文化鯖が大好きです!」
絶句したその作家は、二度と質問をしてこなくなった。