読書家の新技術(ISBN:4022604697)

読書家の新技術 (朝日文庫)



片や、青年の理想主義、片やオトナの現実主義。片や、"広い"市民教養と生活人としての脆弱さ、片や、"したたかな"生活人感覚と傲慢かつ卑屈な心性。


こうした不毛な二分を超える哲学を望見する方法としての読書、これが私の読書論である。

3部構成。教養のありかたを軸として読書の意義を説く1部、読書技術というか、書籍という情報ソースの運営方法を説く2部、参考文献の3部、というような内容。

3部も、教養という観点からの参考文献なので、実に「技術」に触れているのは実質1/3くらい*1です。

しかし、冒頭であげた引用部分にあるような『なぜ知が必要か?』という根源的な問いかけのせいで、この本が20年近く前に刊行されているにもかかわらず、他の読書本とは一線を画しているように思います。

*1:84/247頁